扉は今、開かれる。見据えよ。
ヴォリューム・ディーラーズ。
V O L U M E D E A L E R S
『 u n d e s i g n e d 』
01. MYSTIC MASTER OF MIND CONTROL
02. POLICE & THIEVES
03. HAMBURG RESTAURANT (MP3)
04. MAI-SOH
05. I・S・O・A・N・I・S・O
06. DEVILS IN THE WEST
07. RODORIGUEZ BROS.
08. THE LONGEST BRIDGE
09. THE TEAKETTLE JUNCTION

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執念が浄化され結晶化したようなアルバムである。
今作がリリースされるに至るまでの8年という年月、実際に1年間を費やしたというレコーディング期間、
そして一旦オーバーダビングまで終了したテイクを破棄しての再レコーディング…。このようなエピソードを
目にすると、バンドの方向性の混迷や軍事訓練のような曲作りの風景などが想起されるかも知れない。実際、
それに遠からずといった状況もなくはなかったようだが、そんな舞台裏の事情をまったく感じさせない会心の3rdアルバムが届けられた。
「時間無制限でとことんやってみよう」という無謀な計画の元にスタートしたレコーディングではあったが、
ほとんどがこれまでにライヴで練り込まれた曲で構成され、これまでの集大成であると同時に、今後の可能性も
秘めた広がりをも備えた作品となった。もちろん壮絶にテクニカルな演奏が交錯するスリリングな瞬間の連続では
あるのだが、そこに漂う空気には肩の力の抜けたリラックスなムードさえ感じられ、メンバー間のコミュニケートが
良好な形で交わされた、いわゆるバンド・ケミストリーが生まれている。バンドが本来持っていたダイナミズムが
顕在化したとでもいうべきか。
「なんだかよく解らないが凄い」というこれまでのVOLUME DEALERSのカオティックなイメージが払拭され、
靄が晴れたような明確な輪郭を顕わしたのである。その裏には「変拍子なし、ギターの機械的な歪みはゼロ、
英詞ゼロ」という意識改革があったという。複雑でスリリングなアンサンブルを旨としていた彼らが、
シンプルでオーガニックな指向にシフトしたことで、音の中に含まれる情報が、感情やグルーヴへと醸成されていった。
そしてアルバム・タイトルが示唆するように「なんの企みもない、いいロックの音を録る」という目標を据えての
レコーディングが、理想的な形で自然体のバンドの音を捕らえている。この地点に至るまでに、これだけの時間が
必要だったということなのだろう。
"オルタナティヴ" であることが類型となってしまったこの時代に『UNDESIGNED』でのVOLUME DEALERSは、
狭い枠を疾うに超越した燻し銀の存在感をギラリと放つ。
- keishi kawakami -
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